値上げと値下げについて
値上げはよいが、値下げはしない。
これが自分の基本的な考え方です。
値下げはしない
お客様は、提供される料理に対して適正価格というものを持っています。前章でご説明した内観を上限にした、美味しさと料金のバランスです。実際の料金が適正価格より、安ければ割安と感じ、高ければ2度目の来店はありません。
恐怖感に負けない
そうなると値段を下げなくてはいけない恐怖感が生ずるのですが、その恐怖に負けて値段を下げると「この店は苦しいんだな」とお客様から足元を見られます。お客様からそのように思われたら負けです。お客様の行きたい店ではなく、安い店として認識されます。そして安い店ほど世の中にはいっぱいありますので競合店が増えて来客数をとれません。
決めた値段は貫く
決めた値段は貫き通す必要があります。値段が割高なら内観や料理クオリティを上げて対応します。
値上げは混みすぎる場合に
値上げは混みすぎる場合に使います。
値段は内観の上限まで上げられます。その上限までなら、お店の値上げをお客様はマイナスとは思いません。
逆に混みすぎているのにいつまでも値上げしないと、お店のスタッフが疲弊し、別の店舗に移ってしまいます。値上げして儲かった分をスタッフのお給料につかってあげれば、スタッフもますます発奮し、辞めにくくなります。
ブルーオーシャン
ただし混んでるときの値上げには注意があります。
そこがブルーオーシャン(競争相手のいない状態)であれば同業他社が参入してくる可能性があります。
飲食店は、多くのライバル店が客を獲り合う業界です。ブルーオーシャンというおいしい市場があれば、参入しない手はありません。その場合、市場はレッドオーシャンと化し、そのジャンルのナンバー1とナンバー2までしか優位に生き残れない世界になっていきます。ナンバー3以下は売上数が足りず生き残れませんので、常に入れ替わり立ち代わりです。ナンバー1、2目指して熾烈な競争を繰り広げます。
生き残りを決するのは…
ブルーオーシャンゆえに混む場合において、値上げしなければスタッフは疲弊してしまうし、値上げしたらしたでライバル店がそこを突いてきます。
この場合、勝敗を決するのは、やれることを全てやっているほうです。
儲かりそうだからと二番煎じでくる店は、細かいところにおいて詰めが甘い場合も多く、とくに教育に時間のかかる接客力が脆い印象です。接客含めたクオリティがしっかりしていれば、お客様が味方してくれます。この信用力があればすぐに負けることはありません。ライバル店が安く出したからといってあちらがすぐに儲かるわけではありません。
安い分、より多くの集客を必要とします。混んだらスタッフも疲弊します。料理数を賄うために品質を合理化して対応せざるを得ません。
またお客様も、どのみち一回の食事にお金を払う以上、安いかわりにもっと良い味を思い浮かべながら食べるよりも、自分が満足できるものを食べたいという方がいます。
さらに、ライバル店も収益が想定より悪ければ早めに撤退するはずです。
そう信じて頑張るのです。