勤務する時間から考える
職場にどこまでよい環境を求めるかは、勤務する時間が長くなるほどに重要になってきます。以下、労働基準法上の規定です。法律上は社員、アルバイトの区別はないのですが、実際はまちまちです。
働いたらついてくる 労災保険
労災保険の典型は、指を包丁でパックリ切ってしまったときです。このとき病院の治療費は国が全額補償してくれます。自費で健康保険を使った場合も戻ってきます。また労災で働けなくなったときの休業補償にも使われます。
この保険は強制保険なのですが、実際には未手続の飲食店も多いとされています。お店が未手続でも申請すれば使えますが、未手続であることが明らかになることをお店が嫌がることがあります。その場合「このくらいの傷は当たり前」と我慢させようするかもしれません。それでも労災保険を請求しようとするとお店が全額支払って済ませようとするでしょう。
労災保険が未手続だったら、他も未手続きである可能性が大きいです。それでも働きたいという強い気持ちがあればよいですが、保障のない険しい修行期間になりそうです。
週20時間以上働く(昼間学生除く) 雇用保険
雇用保険に加入していると、失業期間中に賃金に応じた失業手当が貰えます。育休のための育児休業給付金も貰えます。
雇用保険は強制保険であり、未手続でも申請すれば使えるのは労災保険と同じです。
昼間学生は、学業が本分とされるため雇用保険に加入することはできません。
月135時間程度以上働く 社会保険、厚生年金、介護保険の3点セット
社会保険(社保)は、国民健康保険(国保)と比較すると、扶養家族を無料で保険加入させることができることが大きな違いです。夫婦共働きの場合、相手を扶養家族にできるかの境界は年収130万円です。ほかにも、出産したときには出産手当金がでます。
厚生年金は、国民年金の上積みです(「二階建て」と言われています。)たくさん年金を納めるだけ将来の受給額も大きいということになります。
介護保険は、40歳になってから始まります。自分が老化による病気(指定疾患)にかかったときに補助してもらえます。
社保、介護保険、厚生年金3点セットは会社が半分負担する
ここでポイントは、社保、介護保険、厚生年金3点セットは会社が半分負担します。
アルバイトでも、正社員の所定労働時間の75%以上働く場合は3店セットの加入が会社に義務付けられています。
月135時間程度働く予定であれば、社保に加入できるかについて質問をした方がよいでしょう。
アルバイトを加入させる予定はないと言われた場合は、上記メリットがなくなります。若くて独身なら、扶養家族と介護保険は関係ないですが、厚生年金の有無は将来に響いてきます。135時間以上働かないなら、関係ありません。
月173時間程度以上働く 割増賃金
割増賃金は、別名残業代です。規定時間を超えて働くと時給単価の25%増が貰えます。1日8時間を超えると割増賃金が払われるのが原則ですが、多くの会社の就業規則で「変形労働時間制」を採用することによって、月で一定時間を超えたかで割増賃金が払われるように修正されています。173時間とは、暦月が31日、30日、29日それぞれ法定労働時間である1日8時間、週40時間で計算した時の平均時間です。
変形労働時間制のあるなしに関わらず、人件費が高くなるので払わないとしている飲食店もあります(違法なのですが。。)また、法律を守るために173時間以上働かせないようにするお店もあります。
アルバイトはまず、割増賃金の有無の確認。つぎに変形労働時間制の確認。割増賃金がないなら場合、長時間労働があるのか確認しましょう。173時間以上働くことに意義を見出せそうかポイントです。
変形労働時間制については、こちらで詳しく説明しています。
割増賃金の確認
変形労働時間制の確認(なければ日あれば月基準。働く側からするとないほうがよい)
割増賃金がないなら場合、長時間労働があるのか確認
月173時間を30時間程度超えて働く みなし残業代
固定残業代とも呼ばれています。この規定があると、残業代の計算が大きく変わります。また、固定残業代分、月173時間の法定労働時間分に追加して勤務することが期待されます。社員になろうとする方には、知っておいてもらいたい規定です。
みなし残業代については、次のページをご覧ください。
半年以上勤務働く 有給休暇制度
有給休暇は、半年以上勤務すると、勤務実績に応じて一年ずつ有給休暇が与えられ、申請すると勤務せずに一定額の給料が貰えるという制度です。労働時間が長ければ、付与される日数も金額も増えます。残念ながら、有給休暇制度は法律で決まっているとはいえ、アルバイト雇用にまで及んでいないことが多いでしょう。
あっても実際に使えるかどうかは別の問題です。働き手が少ないと結局働かざるを得ないので、有給休暇を別の日に手当てしてくれる配慮があるのか、確認したいポイントです。
勤務日数も労働時間も短ければそれほどこだわる必要はありません。
[…] 会社の規模が小さいうちに、一度確認しておくとよいと思われます。早急に全ての労務関係を整備するのは現実的とは言えず、規模とタイミングで無理なく少しずつ進めていくのが良いと思います。 […]